緋～隠された恋情

「合コンですか？」


「そう、滝沢高校の先生と

　その友達って言ってた。

　水樹ちゃんのお兄さんがいるのよね。」


「はい。

　向こうも４人なんで、

　仲野先生メンバーになってくれないと困るんです。

　お兄ちゃんに怒られちゃう。」



「申し訳ないけど、

　私そういうのはちょっと…」


養護教諭の山田先生が、

斜め前の席から、

身を乗り出した。


「うちに帰っても誰もいないんでしょ？

　付き合いなさいよ。

　これ先輩命令！」


「はあ、

　まあ、じゃあ一次会だけ…」


「そうこなくっちゃ！

　じゃ、紋太に７時。絶対いらっしゃい。」


山田先生はそう言うと鼻息荒く帰っていった。


「ふう。」

私がため息を着くと


「済みません。巻き込んじゃって、

　山田先生から、ずっと言われてて、

　ホント、しつこくって。」


「ううん大丈夫。

　一次会で帰るし、ホント一人だし、

　夕食作らないで済むからそう意味では助かるかも。」


水樹先生はホッとした表情になり、

にこりと笑顔を作った。


「じゃあ、７時にお待ちしてます。」