緋~隠された恋情
「どうかな?」


「「え?」」


水樹さんと平が声を合わせた。


「お兄ちゃん、家出中なんです。

 なんか、私から逃げたかったみたい。」


私は大げさに呆れた動作をつけて

おどけてて言葉を作った。


「じゃあ、ありさは今一人なのか?」


「うん。そう。」



「そんな…だって、」



平は言葉を続けようとして、言葉を飲み込んだ

一緒に水樹さんがいることに気づいたからだ。


私ももうこのことを話したくなかった。


「もう、放浪してる男の話はおしまい。

 今日は飲みましょう!」


そう言うとぐいっとビールを飲み干した。


「おお!いい飲みっぷり、

 もう一杯いこう。」


水樹さんは店員さんに声をかけて

三人分のビールをを注文していた。


まずいな、


あんまり強くないのに……







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