緋~隠された恋情
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「ん…」

カーテンから漏れる光が顔の上に差していた。

「眩しい…」


アレ?


ガバッと起き上がると昨日のカッコのままベッドに寝ていた。


ここ何処?


見覚えのない部屋…まさかお持ち帰りされたとか?

誰に?


恐る恐る部屋のドアを開けると。

美味しそうな香りがプゥンとして

男の人が振り向いた。


「やあ。おはよう目が覚めたね?」


水樹さん!

「お、おはようございます!」


じゃ、お持ち帰りされた相手って??


初めて会った男の人となんてこと!


ガーンと打ちのめされてるところに、


「あ、仲野せんせ起きたんですね!

 ちょうどご飯できましたよ!」


「あ、水樹先生」

水樹先生がやってきて初めて、

そういえば、兄妹で二人暮らしだって言ってたことを思い出した。



「す、すみません。

 おはようございます。

 ご迷惑おかけしました。」


「ううん、あたしが無理に誘って、

 お兄ちゃんは無理に飲ませちゃったみたいで、

 兄妹揃ってごめなさい」


「ほんと、君酒弱いのに、何杯も飲ませちゃったから、

 植木も、知ってんなら飲ませるなっていうんだよ。


 あいつ、君を連れ帰るって聞かなかったけど、

 無理やりウチに連れてきたんだ。


 あいつに連れてかれたらただじゃすまないから。

 あ、良かったんだよね?」


「あ、はいもちろんです。


 ありがとうございます。」


平とはもう終わったつもりでいる。

今更どうこうなるつもりはさらさらない。








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