緋~隠された恋情
「ふたりは、何かあったの?」


「聞きたいんですか?」


「いや、どうしてもってわけじゃないけど。」


「セフレ…

 というか、飼われてたのかな?」


「飼われっ?」


「まあ、そう言う感じです。」


ゴホンと咳して、

「すみません、言いにくいこと言わせて……」


「ああ、いいえ。

 別に気にしないでください。

 今は、全く関係ないし、

 私たちの間には恋愛感情っていうものはないから

 もしあるとすれば愛着みたいなもので……

 もう、戻りたくはなくて……」


水樹さんたちは困った顔をしてしまった。


「だから、ここに泊めてくださって、

 本当にありがたかったんです。

 すみません朝からこんな話……」


「さあ、朝食が冷めてしまうわ。

 朝ごはんにしましょう。


 仲野先生!

 座って。

 ほら、お兄ちゃんも早く!」


水樹先生が朝食を用意してくれていたテーブルに

三人で座った。


トーストとベーコンエッグ。


どこにでもある食卓。


お兄ちゃんと二人の朝食を思い出して思わず涙ぐんだ。


「仲野先生?」


「ああ、ごめんなさい。

 なんでもないんです。

 いただきます。」



慌てて目をこすって、目玉焼きにフォークを伸ばした。

















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