緋~隠された恋情
水樹先生はニッコリと笑うと、

おもむろに、パチンとTVをつけた。


「ごめんなさい、私、朝食は、

 ニュースか情報番組見ないと朝は落ち着かなくて」


「ああ、わかります。職業病ですよね。

 この時間しか、TVなんて見られないものね。」


「そうなのよね。世間に疎くなる。」


「新聞を読めばいいんだ。」


「おじさんは黙ってて、

 リアルタイムのニュースは、

 新聞じゃ得られないでしょ。」


水樹さんはベーとしたを出して、

 チャンネルを回す。

普通の兄妹ってこんななんだろうなって、羨ましくなった。


「あ、ほら、バスジャックだって、

 やだ、うちの方の路線じゃない?」


「え?あ、本当だ、私がいつも使ってるバスだわ。」


「知ってる人が乗ってたりして、

 生徒とかいたら大変だわ、

 今日は休日だけど、部活の子とか大丈夫かしら。」


私たちは朝食の事などそっちのっけで食い入るように画面を見た。


けれど外からの映像じゃあ、

中の人まで判別はできないし、

犯人の姿もよく見えなかった。

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