緋~隠された恋情
「ああ、無理だな、これ以上進めない。


 野次馬とか、警備とか、

 単純に知らずに来ている車とかもあるんだろうな

 ……どうする?」



「ここで降ろしてください。

 私、歩いていきます。」


「ここで待っていようか?」


「いえ、大丈夫です。

 必ず報告に伺います。

 重ね重ねありがとうございました。」


「気をつけてね。

 無理したらダメだよ。」



「はい。

 ありがとうございました。」





私は挨拶も早々に走り出した。


あの映像にいたのがお兄ちゃんでありますように。


心で祈りながら、

その先には、危険が待っているかもしれないのに、

そんなの全く構わなかった。

お兄ちゃんにひと目会う。

それだけでも十分だった。
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