緋~隠された恋情
走った。
まるで周りに何もないように、
ひたすら走った。
もう私に失くすモノなんてない。
この命さえ、
今の私にとってなんの魅力も感じない。
何の目的も何の意味も見失ってしまった私
その原因はあなたなのです。
お兄ちゃん。
どうか、そこにいてください。
一瞬ではあったけれど、
見間違うはずない。
会いたくて、
求めてやまないあなただったのだから。
人だかりが出来ていて、
そこが現場であることがわかった。
止まっているバスにはもう誰も載っておらず、
立ち入り禁止のテープで入り口がふさがれ、
ブルーシートを掛けている所だった。
「あの、事件はどうなったんですか?」
近くで何やら話している、やじ馬な主婦に聞いてみた。
「バスの中で犯人と乗客の一人がもみ合って、
警察が突入して、犯人はもう逮捕されて
警察に連れて行かれたよ。」
「あんた今来たの?
残念だったね。
大捕りものはもう終わっちゃったよ」
「乗っていた人達はどこへ?」
「さあ?
一応事情聴取っての?
そのため何人かパトカーに乗っていったなあ。」
「男の人、30くらいの人なんですけど、
どこに行ったか知りません?」
「さ、さあねえ、
そういえば一人だけ怪我をした人が
そんな感じだったかな。
病院行ったんじゃないのかね?」
「どこの病院ですか!」
「さ、さあ。あそこにいる警察の人に聞いたらいいんじゃない?」
食いつくような私の剣幕に、
おばさまたちはたじたじだった。
まるで周りに何もないように、
ひたすら走った。
もう私に失くすモノなんてない。
この命さえ、
今の私にとってなんの魅力も感じない。
何の目的も何の意味も見失ってしまった私
その原因はあなたなのです。
お兄ちゃん。
どうか、そこにいてください。
一瞬ではあったけれど、
見間違うはずない。
会いたくて、
求めてやまないあなただったのだから。
人だかりが出来ていて、
そこが現場であることがわかった。
止まっているバスにはもう誰も載っておらず、
立ち入り禁止のテープで入り口がふさがれ、
ブルーシートを掛けている所だった。
「あの、事件はどうなったんですか?」
近くで何やら話している、やじ馬な主婦に聞いてみた。
「バスの中で犯人と乗客の一人がもみ合って、
警察が突入して、犯人はもう逮捕されて
警察に連れて行かれたよ。」
「あんた今来たの?
残念だったね。
大捕りものはもう終わっちゃったよ」
「乗っていた人達はどこへ?」
「さあ?
一応事情聴取っての?
そのため何人かパトカーに乗っていったなあ。」
「男の人、30くらいの人なんですけど、
どこに行ったか知りません?」
「さ、さあねえ、
そういえば一人だけ怪我をした人が
そんな感じだったかな。
病院行ったんじゃないのかね?」
「どこの病院ですか!」
「さ、さあ。あそこにいる警察の人に聞いたらいいんじゃない?」
食いつくような私の剣幕に、
おばさまたちはたじたじだった。