緋~隠された恋情
また?

「よっぽど縁があるのね」


まだ残っていた警察官の人に聞いて、

私が自殺未遂して運ばれた病院の名前を言われたときは驚いた。


近くの駅から電車に飛び乗り、

病院までやってきた私は、

お兄ちゃんがここにいるかもしれない。


そう思うとドキドキした。

それとおんなじに、

違ったらまた振り出しに戻って一人になるんだという不安も有り、

そこから動けなくなってしまう。


病院の入口の自動ドアが

ガーっと開き、

男の人が出てきてその人と目が合った。





そんなまさか……

確かに、30歳くらいの男の人だけれど、

そんな……


「ありさ?」

植木平が目の前にいた。


あまりにショックで、言葉が出なかった。


「何?来たの?情報早いね。」

「植木先生どういうこと?」


「はは、運が悪いよね、

 よりによってバスジャックに関わるとは、

 新て……、疫病神じゃないの?」



今、『新』て、そう言った?






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