緋~隠された恋情
「なんて顔してんの?」


「怪我したのは、植木先生じゃ?

 お兄ちゃんはここに居るの?」


「会いに来たんじゃないのか?」


「会いに来たのよ!」


「怪我したのはあいつ、

 ったく、無茶しやがって。

 まあ、たいしたことなかったけど…」


平の言葉を最後まで聞かずに走り出した。

お兄ちゃんがここにいる

会える


「あ…」



会計のところで立っている後ろ姿、


焦がれて

会いたくて

抱きしめたかった

何度も私を背負ってくれた。


あの背中


見間違えるわけがない


ねえ、振り向いてよ

そして笑いかけて

恋しくてやまないあの笑顔で




あたしは

心の中でカウントダウンする


3.

2.

1.


0

*。+*。+*。+*。+*。!

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