緋~隠された恋情
「ばかばかばーか」


わぁぁぁぁ---------------

大声で泣いた

こんな大きな声でないたのいつぶりだろう。


そう、


突然死んでしまった両親の


49日の法要のあと


お骨をお寺にお預けるのが辛くて大泣きしたんだ。


いつだってそう


泣くときも声が出せない。


辛いことが多すぎて、

感情を態度に出せないことに慣れてしまったのかもしれない。


溜め込んだ感情が

風船のように膨らんで、

パチンと音を立ててはじけた。


きっとそんな感じ。


お兄ちゃんの懐かしい胸に抱かれて

あたしはいつまでもいつまでも泣いた。







 
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