緋~隠された恋情
「ずっと頼って欲しいよ。」

私の言葉に、

お兄ちゃんの笑顔がすっと消えるのを感じる。

「ごめんな、ありさ、

 頼りないお兄ちゃんで。」


違うのに、

そばにいたいだけ、

愛してるだけなのよ。


そんな傷ついた顔しないで。


「少し出てくる、鍵ちゃんと閉めとけよ」


「ん、わかった」

お兄ちゃんはニコリと笑って、

出かけていく。

そんなお兄ちゃんの背中を見つめて、

胸が張り裂けそうになる。

行かないで、

私のそばにいて!

お兄ちゃんを追いかけて抱きしめてそして……

その先は一体どうなるんだろう?

おばした手を力なくだらりと下げ、

その場に座り込むしかなかった。

今夜お兄ちゃんは一体どこに行くんだろう。

こんな時は大抵明け方まで帰ってこない。


私の思いもきっと気付きながら、

はっきりと境界線を引く兄の背中。

私の存在は重すぎる想いは

お兄ちゃんにとって迷惑なのだ。


だから、負担にならないように婚約もした、

そして……

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