緋~隠された恋情
長い長いキス、

私から、

お兄ちゃんから、

会えなかった時間を埋めるように、

求めあって、

奪い合って、

熱くて深いキス


二人の吐息と

行きかうお互いの唾液が

艶めかしいい音を作る。


バサッ



抱き上げられてベットに降ろされるなんて

そんなことが自分の身に起きているのが不思議でならない。


平との時は、

いつだって自分から脱いでベッドに入った。


屈辱的に脱がされたりするくらいなら

いっそ自分でと、思っていたから。


ぞくっ

背筋が寒くなった。


駄目…このままお兄ちゃんに抱かれるわけには行かない。

だって

こんな汚れ切ったカラダをお兄ちゃんに抱いてもらうなんてできない


「待って、ダメ。触ちゃダメ。」


上から覆いかぶさっていたお兄ちゃんのカラダを押し戻した。


「ありさ?」


「ダメだよ。私、お兄ちゃんに抱かれるなんて無理だよ


 だって、もう私の体は汚れてる…」



「風呂入りたい?」


「ちがう、そうじゃなくて、わたし…」


「風呂一緒に入ろう。洗ってやる。


 髪の毛から爪の先まで一ミリも残さず全部。


 そしたら、全部俺色に染まって。


 ありさのぜんぶ俺のものにしたい。」



「でも私は…お兄ちゃん」


お兄ちゃんは唇に指を当てて


「ありさ、新て呼んで…」


「し…んっふ」


名前も呼びきらないうちにキスで塞がれ

もどかしそうに服を脱がせ始める


「まって、まだお湯張ってないないし……あっ」

項に唇を這わされ、

身体の中心が

じゅんっ

と潤ってくる。



「洗っているうちに溜めればいい。」

丁寧に、

一枚ずつ服をはがされて行く

何かの儀式の様に、

私の向けられるお兄ちゃんの視線が恥ずかしくて、

息をするのさえ難しい。

「きれいだよありさ。

 愛してる。」

欲しくてたまらなかった言葉をため息交じりに、

投げかける……

私も……

そう言いたいのに、

それを言わせないかのように、

再び唇を重ねられて、


……

もう従うほかないのだろうと観念した。


お兄ちゃんから溢れ出る熱情は


留まる事を知らない。






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