緋~隠された恋情
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「新ちゃん、

 もう忘れ物はない?」


「うんたぶん。」


「いそいで、飛行機に間に合わないよ。」


「いってきます」


「はい、いってらっしゃい」



バタバタと出張に出かける新ちゃん。


もうすっかりサラリーマンになってしまった。



お兄ちゃんから、名前に呼び変えようとしたけれど、照れくさくて

「ちゃん」をつけるのだけは残してしまった。



新ちゃんは、日本とアメリカを行ったり来たりして、

例のコロッケ事業を立ち上げるために忙しい。



いずれはどちらかにとどまるようになるらしいが、

できるなら、日本であってほしいと切に願う。


とりあえず私も、

中学校の教員生活が楽しくなってきたところだ。


すべてを投げ出して新ちゃんについて行くという選択は、

今の所は考えられない。

というより、

また、新ちゃんの枷になってしまうのだけは嫌だったから。









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