緋~隠された恋情
「ガチャ!」
「あれどうしたの忘れ物?」
どうも、今まで気がつかなかったけど、
新ちゃんはかなりの忘れんぼだった。
いつも完璧を装っていたけれど、
会わなかった半年の間に
すっかり、お兄ちゃんモードは消えていた。
おかげで結構手がかかる。
「パスポート?
チケット?」
新ちゃんはニッと笑うと、
「ありさ」
「?」
瞬間ぎゅうっと抱きしめられ
視界が新ちゃんで一杯になった。
熱い唇が重なる
深く
熱く
「…んふ…」
とろける
「充電終了!いってくる!!
愛してるよ~ありさ。」
目の前でばたりとドアを閉めて
走り去る足音
「もう。
新ちゃんたら。
飛行機乗り遅れても知らないんだから。
ふふ
愛してるよ新ちゃん」
面と向かって言わなくても、
きっと私の気持ちは伝わっているよね。
私たちはまだ、籍を入れたり特別なことはしていない。
だけど
お互いを愛し、愛され、必要とされる喜びに
自分が生きている実感を感じて生活している。