緋~隠された恋情
「まあ、試食とレシピコンテストかあ。

 悪くはないけど、もうひとひねりほしいかな?

 山根くんのアイデア以外に何かない?

 今回のイベントは、

 この間の、企画の試験みたいなものだから、

 失敗したらそっちにも影響出るのよ。」


「試食だけじゃなくて、販売もしますよね?」


「もちろん。でないとやる意味はないわ。」


「なら、実演販売のほかに、一つ単位で、揚げたものを売ったらいいと思う。

 実際にアメリカで販売する方式と同じワゴン形式で。

 目も引くし、

 わが社らしさも出るんじゃないですか?」

「悪くはないけど。 電力会社と協賛だから、

 何処までできるかしら。」


活発に意見交換をする企画推進部の会議に、

海販の俺が座っているのは

何となく居心地が悪い。


「仲野さん何かありますか?」

鮎川さんが期待する目で俺を見る。


「いえ、皆さんの意見が素晴らしくて……」


「そうですか、何かあるようなら言ってくださいね。」


「はい。」

 
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