緋~隠された恋情
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「こんなにたくさんどうするのよ。」
あきれた声で悲鳴に近い声を上げたありさ。
自分でも驚くくらい、
はまってしまった冷凍コロッケを揚げる作業。
ありさの揚げてくれたコロッケが思ったより旨くて、
もっとほかの方法はないかと、
試したくなってしまって、
気がつけば、
冷凍してあった試食用に持たされたストックは、
すべて揚げられてしまった。
「ごめん」
ありさは苦笑する。
「しょうがないなあもう、
それで満足できる方法は見つかったの?」
「これ、ちょっと食べてみろよ。」
「どれどれ?
!
これ、お兄ちゃんのコロッケ……」
「な?」
ありさは口いっぱいに頬張りながら、
コクコクと頷いた。
納得いかなくて、もやっとしていた事が、
クリヤになった気がした。
「ありさ、サンキュー、
なんかやれそうな気がしてきたよ!」
思わず抱きしめた俺に、
ありさは、なんだかわからないけど良かったねと、
言いながら、
もうひとつのコロッケをつまんでいた。