緋~隠された恋情
「俺、別に中毒じゃないから、
シチュエーションに酔いたいって感じ?
だから吸うのは、
何か達成感を味わったときかな。」
「達成感?今あたしを抱いたことが?
達成してないでしょ?」
あはははっ
と大きな声で笑うと、
「そうだね。
でも今日スゲー良かったし、
お前も、動けなくなるくらい
感じてたじゃん。
達したんじゃねーの?」
そのいけすかない態度にいらっとした。
この男との行為に
溺れていく厭らしい身体が恨めしい。
「あなたに抱かれたつもりはない。」
「新に抱かれてるつもり?か、
いっそ告っちゃえよ。
血は繋がってないんだから問題ないじゃん。
両親は喜んでくれんじゃないの?」
「そんな簡単じゃない。
お兄ちゃんは、あたしの気持ちを知ったら、
ここに居てくれなくなる。
親友の植木先生なら分かってるでしょ。」
そばにいられなくなる。
それが今一番恐れていること。