緋~隠された恋情
パシャ、

家に戻り、湯船に浸かりながら、

平との行為の跡を洗い流した。


平は兄の高校時代の親友で、

兄が家業を継ぐと決めた時、

心配して、くれた優しい男だ。


兄にとって無二の親友。


そんな男となぜこういう関係になったのか、

それは私が中学3年の受験期に遡る。


兄と私は5歳の年齢差がある。


私の高校受験のために、

仕事で手が離せない自分の代わりにと、

平に家庭教師を頼んでくれたのだ。


両親が亡くなり空いた部屋を下宿として提供する代わりに

私の勉強を見てくれることになった。


すでに地元の大学に通っていた平。


家族は転勤で福岡に転勤が決まり、

社宅を出るため、

アパートを物色していた平にとって

それはワリのいいバイトだったようだ。








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