緋~隠された恋情
「今日は、食事でも食べに行かない?

 たまには、外で食べたいでしょ?」

「え?でも。」


「いつも勉強頑張ってるご褒美だよ。

 たまには、羽も伸ばさないとさ。

 ご馳走させて?

 ね?」


「はい。」


王子様のような優しい微笑みで、私を安心させる。


当時から、お兄ちゃん一筋だった私。


ほかの男に興味なかった私だったけど、

平のことお兄ちゃんと同じように、信頼していた。


もちろん恋愛感情はなかった。


でも、平は違ったのだ。


成長期の日々発育していく私の体を

雄の目で狙っていたのだ。


その日、私に高価なドレスを買い与え、

ドレスアップさせ、

有名老舗のホテルのレストランにエスコートしてくれた。


初めて与えられる夢のようなシュチュエーションに酔わされながら。


高層階のレストラン、

窓際の予約席

フルコースのフランス料理。

何もかもが初めてで、

お姫様みたいだった。


まだ15歳の私

大人な夜の楽しみ方に、只々感嘆していた。





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