緋~隠された恋情
私の持つ合鍵で、

アパートに入る。


大して物のない殺風景な部屋に、


徹平と私のツーショット写真。


徹平がこの部屋でひとりどう過ごしていたのかを思うと切なくなる。


愛情を知らない徹平。


自分を許せず愛せない徹平。


そんな彼を知り受け止めると約束した。


報われない私の思いを一緒に悲しんでくれた。


お互いにお互いを頼りにしていた。


卒業するとき、

月に一度会う約束をして一度も合わなかった私たち。

偽りの婚約者だった私たち。









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