緋~隠された恋情
携帯のメールを確認してから、

電話を掛ける。

「あ、徹平?

 メール見た。

 ううん大丈夫。

 しょうがないよ


 うん、そうだね後でメールして。


 うん。


 わたしも。」



画面をOFFにしてから


ふうっとため息をつく。


隣の県の企業の研究職についた彼は、

ほとんどといっていいほど、

都合が合わなくなった。


たまに合って会う約束をしても

こんなふうにドタキャンされてしまう。


大学卒業してから、一度しか会っていない。


そうだ、プロポーズされたあの日から

会ってないのかもしれない。

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