緋~隠された恋情
ねえ、徹平、
あの日、私に電話してきたときどんな気持ちだったの?
どうして会えないなんて言ったの?
もう私はいらないの?
涙はとめどなく溢れる
男と女としてではないけど、
生きる同士として、あたしを認めていてくれたんじゃあないの?
「ありさ…」
後ろから支えて声をかけてくれるお兄ちゃん。
心配してくれてるんだろうな。
ごめんねお兄ちゃん
あたしは本当のことを伝えることはできない。
あなたを好きだというそのことが、
あなたへの執着が、
物事をどんどん複雑にしている。
いっそ伝えられたら、
いっそ吐き出すことができたら、
けれどその先に待つあなたとの関係を考えると
すべてを飲み込むしかない。