緋~隠された恋情
引き出しを端から開けていく、

綺麗に整頓されていて、几帳面の徹平らしい。


手がかりになりそうなものは何一つの顔されていなくて、

途方にくれる。


ふと、目にした寝室のゴミ箱。


っそうよ、

ゴミ箱とかにあるかもしれない。


家中のゴミ箱を探した。


漁る必要はなかった。


なぜなら、全て空だったから。


がっくりした私に、

お兄ちゃんがぼそっとつぶやいた。


「おかしくないか?

 人が暮らしてたっていうのに、

 ゴミ箱にゴミひとつないなんて、

 本当にここに暮らしてたのか?」

「あっ」


それを聞いて冷蔵庫を開ける、

そして愕然とする。


引越しの時手伝いに来たあの時に入れた

ミネラルウォーターがそっくりそのまま

入れられていて、

他には何も入っていなかった。


「お兄ちゃんの言うとおりかもしれない。」


「やっぱりそうか。」


「いったい徹平はどこで暮らしていたの?


 一週間前までは会社にだって通っていたのよ。」

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