緋~隠された恋情
ドアを開けて目に飛び込んだのは、

シャツ一枚羽織り下着一枚だけ付け

手入れの行き届かない容貌の

疲れた顔の徹平がいた。


見てはいけないものを見てしまったような、

言葉に言い表せない異様な状況に、

只ならない状況であることがわかる。


「徹平どうして……」


いつもきちんとアイロンのかかったかったシャツ

無精ひげなんて生やしたこともなく、

短く整えられた髪からはいつもミントの香りがしていた。


ハンカチのたたみ方すら几帳面だった

学生時代の徹平。


「ありさ……」


「なんでこんなことに

 今外してあげる、

 鍵はどこ?」


「ありさ、どうしてここに。」


「どうしてって、私は、徹平の婚約者じゃないの。」


「ありさ…迷惑かけてごめん…俺……


 …!」


後ろを見て息を飲んだ息を飲んだ徹平。

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