緋~隠された恋情
徹平にとって私は、精神安定剤。
彼が欲しい時に、
彼が手をのばした時に、
私は必要とされる。
こんなふうにキャンセルされるときは、
私を必要としないのだろう。
仕事も順調で精神的にも満たされているのだろうか。
もしくは、それ以外で満たしてくれるものができたとか?
どきりともしない心臓は
私と彼の関係が愛とかそういう感情で
結ばれていないことを物語る。
私は私
彼には彼の
決して報われることのない性癖の
よき理解者であり、
気兼ねなく悩みを相談できる。
でも、このままではいけないんじゃないのかと思う時もある。
けれど、手放せないのは、
恋愛に属さないものが二人の間には間違いなく存在するから。
それと、愛情では無くて、
誰にも言えない、
親にも言えない秘密を共有する運命共同体としての存在。