緋~隠された恋情


「大丈夫ですか?

 たくさん輸血してしまったから、

 ゆっくり休んでくださいね。


 よかったわ、妹さんが同じ血液型で。」


「兄は?」


「大丈夫、出血が多くて、意識がなかったけど、

 血圧も戻って、安定してるわ。」



「警察が事情聴取を取りたいって言ってきていたんだけど、

 先生が言って明日にしてもらったからね。」


少しずつ意識が戻っていくのを感じた。

ああ、お兄ちゃんのことを看護師さんが言ってるってことは

助かったってことで、


「着替えとか、

 保険証とか、

 もって来てくださる方とか連絡付くかしら。」


一瞬、平が浮かんだが、

奈津美なら、いろいろ頼めるはずだと思い直した。


平じゃ役に立たないわね。


「私たち、身寄りがなくて、でも知り合いに、連絡して見ます。」


「そう、そういう方いらしてよかった。」


「ご迷惑をおかけします。あの…」


「はい?」


「もう一人、怪我人がいたと思うんですけど。」


「ああ、彼は軽傷だったので、手当をしてすぐ警察の方へ行ったわ。」


「そうですか」

 
 



< 70 / 238 >

この作品をシェア

pagetop