緋~隠された恋情
「大丈夫ですか?
たくさん輸血してしまったから、
ゆっくり休んでくださいね。
よかったわ、妹さんが同じ血液型で。」
「兄は?」
「大丈夫、出血が多くて、意識がなかったけど、
血圧も戻って、安定してるわ。」
「警察が事情聴取を取りたいって言ってきていたんだけど、
先生が言って明日にしてもらったからね。」
少しずつ意識が戻っていくのを感じた。
ああ、お兄ちゃんのことを看護師さんが言ってるってことは
助かったってことで、
「着替えとか、
保険証とか、
もって来てくださる方とか連絡付くかしら。」
一瞬、平が浮かんだが、
奈津美なら、いろいろ頼めるはずだと思い直した。
平じゃ役に立たないわね。
「私たち、身寄りがなくて、でも知り合いに、連絡して見ます。」
「そう、そういう方いらしてよかった。」
「ご迷惑をおかけします。あの…」
「はい?」
「もう一人、怪我人がいたと思うんですけど。」
「ああ、彼は軽傷だったので、手当をしてすぐ警察の方へ行ったわ。」
「そうですか」