緋~隠された恋情
「一緒に卒業しようぜ。」
差し出した徹平の手
何度もつないで、何度も握り合った。
私を支えてくれた徹平。
私が支えた徹平。
恋愛感情を除けば、私たちはちゃんと愛し合っていた。
そうでしょ徹平?
そして今日、手放す。
「元気でな。」
なんだか胸が痛いよ。
徹平はそのまま振り向かないで、部屋を出ていった。
いつか戻る彼のために
迎える部屋を用意するために。
狂おしいほど徹平のことを愛したあの彼。
いつか幸せになれるのだろうか。
私はぼんやりとそんなことを考えていた。