緋~隠された恋情
大方、俺を落とせるか友人と賭けでもしてるんだろう。
浅はかな奴。
俺がニヤリとすると
「いまして欲しいのに…」
浅尾は口を尖らせる。
あどけない女の色香も悪くない。
まるで……
「君はそんなに俺が嫌いなの?」
「好きですっ」
「そうかな?
俺が君に手を出したら、
この学校をクビになるだろうね。
それが君の望みなんじゃないの?」
「違います!」
「なら、卒業してからって意味分かるね?」
「…はい」
「いい子だ。
聞き分けのいいこは好きだよ。」
「先生。」
「うん?」
「きっとですよ。」
「うん。わかった。」
浅尾はパッと顔色を赤くした。
子供なんてちょろいもんだ、
少し甘い言葉を囁いてやれば
すぐころりと手の内に入ってくる。
浅尾に昔のありさを重ねた。
ありさは、もっと子供だった。
唯、兄を慕い。
俺を信じていた。
ちらりと見せた本性に恐怖し、
想い道理にするのは簡単だった。
幼さというのは、浅はかで愚かだ
何も知らないというのは何にでもなれるということ
俺にかかわる女たちは、得てして、
愚かなそして愛すべき存在だ。