緋~隠された恋情
それを知ったのは、
退院をしてお兄ちゃんと二人、
家にもどる電車の中。
「え?」
「何?」
平によってもたらされた、事実。
「うん……」
「なんだよ。」
「植木先生からメール。
私、高校、解雇になったって。」
「クビってこと?」
「うん……」
お兄ちゃんはふっとため息をついて、
笑顔で言った。
「しょうがないな、
欠勤つづいちゃったからな。」
「そう……だよね。」
「ワリ……俺のせいだな。」
「やだ、お兄ちゃんは少しも気にすることないよ。
私に巻き込まれただけだもの。
こっちがゴメンだよ。
お兄ちゃん、私、お兄ちゃんの腕になるよ。
腕がよくなるまでずっと側にいるから」
「よくなるまでか。」
「うん。」
『よくなるまで』
それまでそばにいる権利を得る。