緋~隠された恋情
「一度聞きたいと思ってたんだ。」
「何?」
何か言いたそうに私を見つめていたお兄ちゃんが
やっと口を開いたけど、
「あ…いや、やっぱりいいや。」
そう言って口をつぐんでしまった。
「なんなの?」
「忘れた。」
お兄ちゃんは目をそらし車窓を眺め、
それっきり駅に着くまでもう、
口を開くことはなかった。
厳しい表情が時折窓をに映って私の心を不安にする。
何か?それは聞くのが少し、
いや、かなり怖かった。
私の心は不安でいっぱいになっていく。
まさか?
平のことが頭をよぎったけど、
それそれだけは、あって欲しくなくて、
頭の中から消して、目を伏せた。
線路をの歪で聞こえる
カタコトンのリズム
『違うよ違うよ、大丈夫大丈夫』
そう言ってくれているようで、気持ちを落ち着かせてくれた。
違うよね
大丈夫よね。