桜の舞い散る頃に 【短編】
泥だらけの手でくれたクローバー。
恥ずかしそうな顔をしながら、私に言ってくれた約束。
『二十歳になったら結婚しよう』
そう言って、くれたのは手作りのリング。
私達は、まだまだ幼かったけど……
愛する気持ちは真剣だった。
素敵な時間をもらったんだね。
十年間、翔太を待っている間もすごく幸せな気持ちだったんだよ。
だから、もう終わりにする。
前に進まなきゃ。
大人になってしまったんだから……
分かっていた事なのに、瞳からは涙が溢れ出して止まらなかった。
タイムリミット。
そして、ゲームオーバー。
私はゆっくりと瞼を開けた。