桜の舞い散る頃に 【短編】

桜の花びらが、私達の周りを舞っていた。

まるでバレエの群舞の様に、ひらひらと舞い散る花びらは私達を応援してくれている様に見えた。

手を繋ぐのもやっとなのに、抱きつかれどうしたら良いか分からずに居る翔太。


「…離れろよ」


ぶっきらぼうに言うくせに、優しく背中を撫でてくれていた。



『二十歳になったら結婚しよう』



ただの口約束なのに、心が温かくなっていくのを感じた。


『翔太が大好き』


口には出せないけど、素直にそう思えたのは、翔太が素直に気持ちを伝えてくれたからだと思う。

『好き』

という言葉が無くても、翔太の思いがしっかりと伝わってくる言葉だったよ。

私は翔太から離れると、しっかりと手を繋いだ。

二人で顔を見合わせると、満面の笑みで笑い合ったね。



約束、ちゃんと守るから……



心に誓った、ある春の日曜日だった。


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