鬼畜店長
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「店長、生意気な口きいてすみませんでした。」
「お前が生意気なのはいつものことだろ。気にしてねーよ。」
帰り道、いつもの口調に戻った店長をきいて肩から力が抜けるのがわかった。
無意識に緊張していたようだ。
「デート、楽しんで来いよ。」
「だから、デートじゃないって言ってるじゃないですか。第一、あいつあたしのこと好きでもなんでもないんですよ?」
「じゃあなんで誕生日に二人で出かけようなんて言い出したんだよ?」
「そんなの、彼女に振られて暇になったからに決まってるじゃないですか。所詮あたしは暇つぶしの相手なんですよ。」
「なら別にお前じゃなくてもいじゃねーか。それに二人の必要性もない。」
「そ、それはそうですけど…」
「なら、行くなよ。」
「へ?」
「そんな、暇つぶしに付き合うくらいの気持ちで行くなら、行くな。」
「て、店長?」
「なんてな。折角好きな奴に誘われてんだから、つべこべ考えずにただ楽しんでこい。楽しまなきゃ誕生日の相手にも失礼だぞ?」
なんだか一瞬店長が別人のように真顔になったけど、本当に一瞬で消えてしまった。
今はいつもの人を見下したような笑顔だし…
「とにかく、思いっきり楽しんできます。」
「そーしろ。」
そう言って別れ際に頭をなでられた。
なんのことかわからないまま唖然とするあたしから店長が離れていく。
「なんだったんだ……?」
首をかしげるあたしを置いて、店長の姿は見えなくなった。
END