鬼畜店長
「で、馬面さん。俺に言うことは?」
「店長は仮装しないんですか?」
「はい不合格」
「嘘ですごめんなさい」
「お前に知らせなかったのはなんでなんだろうな」
「たぶんトナカイさんの陰謀です。店長がこういう馬鹿騒ぎが嫌いなのを見越しての馬鹿騒ぎです」
「それ最悪だな。なんて悪質なんだ」
「本当にすみません。あ、どうせだからあたしシフト入りましょうか?今日は本当にまだ飲んでないし。ちょっと馬面なだけですよ」
「うちのスタッフに馬面はいらない」
「店長もこれかぶってみます?意外と重いんですよ。暑いし」
「全力で拒否する」
「まぁそういわずに。はいどうぞ」
ガボッ と馬の被り物を頭から外すと、新鮮な空気に肺が喜んでいる。
あぁ、頭がもじゃもじゃになったが仕方ないか。
すべては馬面のせいだ。
「ふぅ、暑かった。はい店長。はりきってどうぞ」
「…いらねぇよ。ふはっお前すげー頭してんな」
あたしのもじゃもじゃ頭が面白かったのか、堪えきれないといった感じに笑い出した店長。
店長の無邪気スマイルだなんて滅多にお目にかかれないレアショットだ。
「すべては馬面のせいです」