鬼畜店長
「店長」
「なんだよ?」
「大好きです!」
「はいはい」
「投げやり!店長、信じてないですね!」
「ちげーよ。お前のダイスキは聞き飽きた。」
「じゃあなんて言えばいいんですか」
「なにも言わなくていーよ。俺が言うから」
「んん?」
「好きだよ。大好き」
「………ぐはぁ!」
めったに見れない笑顔にそんな甘ったるいセリフなんて、毒でしかない。
猛毒だ。
「なんだようるせーな。もっと可愛い反応してみろよ」
「きゃぴ☆」
「死ね」
「ひどい!想像以上に!」
「今のは殺意を覚えるレベルだった」
「たった三文字で殺意を抱かせるあたしすげぇ」
「もうお前の防弾ガラスハートなんとなかんないの?どうしたら泣く?」
「店長あたしのこと泣かそうと思ってたんすか。マジすか。こわ」
「軽く引いてんじゃねぇよ。」
いやだって怖いっすよそれって。
あ、そういえばだいぶ前にそんな感じの鬼畜講義を受けた気がするな。
『いつもへらへらしてる奴を泣かすからおもしれーンじゃねーか』みたいな。
へらへらしてるやつってあたしのことか!!
「店長はもう揺るぎなく鬼畜ってことですね。わかります」
「今更なこと言うなよ。そんな俺が好きなくせに」
「それさっきあたしが言いましたよね。店長ウザいって言いましたよね」
「俺はいいんだよ。お前はダメだ。ウザいから」
「ひどい!横暴!」
「でもそんな俺が好きなんだろ?」
「……好きです」
「その反応なら合格」
そして結局髪をぐしゃぐしゃにされたあたし。
顔が緩むのは表情筋がその役目を放棄したからであって、決してあたしの意志じゃないですから!