鬼畜店長

「お前、これもってけ。4番」


「お、やっと仕事ができたわけですね!」


「元から仕事はあったのにお前がサボってただけだろ。早く行け」


「はいはーい」


「返事は一回」


「はーいっと。4番テーブルお届けでーす」



いちいちうるさいという言葉が後ろから聞こえたような気がしたようなしないような。

まぁ気にしないけどな!



さくさくっと4番テーブルにおいしそうなパスタをお届けして帰ってくると、なにやら話し込む男性陣。

でもあたしが戻ってきた途端やめてしまった。



「内緒話ですか?」


「内緒話じゃないコソコソ話だ」


「店長さんってたまによくわかんないところ頑なに譲らないですよね」


「そのポイントがまた謎過ぎるよね」


「うっせぇ。ほら、こいつお会計だってよ」



イケメンくんの伝票をあたしに押し付け、自分はキッチンに引っ込んでしまった。


さっき注文されたピザを作りに行くんだろう。



「先輩、オレがやりましょうか?」


「あ、ワンコ。さっきのお客さんはもういいの?」


「あ、はい…」


「あっれれーワンコってばチョコでも渡されちゃった?」


「そ、そんな感じです…あ、2番呼んでますね、オレ行ってきます!」



慌てたようにカウンターから出ていくワンコは、今戻ってくるまで10分ほど仕事を抜けていた。

というのも、お客さんの一人に呼び出されてしまったからなのだ。




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