鬼畜店長


「…みーんな浮かれてんな。バレンタインなんてチョコをだしにイチャイチャするためのイベントだろ」


「そういうお前も去年は浮かれてたでしょうに」



帰り支度を進めながら嫌そうな顔をするイケメンに思わず笑ってしまう。

去年彼女の手作りチョコレートに浮かれまくってたと記憶しているよあたしは。



「ま、まぁそれはそれ、これはこれだ。お前、店長さんにチョコあげんの?」


「んーまぁあげるよね。普通に」


「なにその甘さのカケラもない反応。もっとドキドキ感だしてけよ」


「だって、あたしと店長だよ?」


「…確かにドキドキよりハラハラって感じだな」


「でしょ?はい、お会計」


「ん、ごちでした」



お会計を済ませて、おつかれとだけ挨拶をして帰って行ったイケメン。


今年のバレンタインはあのイケメン野郎にチョコをあげるか一瞬悩んだんだけど、義理というか友情の証というか相棒の印としてあげようという結論に至った。


去年はクッキーだったけど、今年はちゃんとチョコレートにするよ!

店長と一緒にキッチンに立つことも増えて、できることだって増えたんだから!



「なににやけてんだ?これ3番」


キッチンからこれまたおいしそうなピザをもって現れた店長。

店長にもちゃんとチョコあげるんだから、期待して待っとけよ!



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