鬼畜店長


そして次の日、バレンタイン当日。



大学でイケメンな相方に簡単な生チョコをわたすと、盛大に喜ばれた。

去年はあんな扱いだったのに、進歩したものだ。


たまたま学内で会えたワンコにもあげると、しっぽを振って喜んでくれた。

いやしっぽはあたしの幻覚なんだけれども。


そしてそして、もはやお決まりと言っても過言ではないくらいイベント事をなんだかよさげなバーで過ごしているあたしは、今日も漏れなくバイトなのです。



「店長、おはようございます」


「おう、今日は昨日より忙しいからくれぐれもサボってんなよ。さっさと入れ」



そうだ、今日は金曜だし、それよりなにより恋人たちの甘い夜。

このなんだかよさげなバーが盛況しないはずがない。



「忙しいのヤダな…」


「俺に言うな、浮かれ気分の馬鹿どもに言え」


「実際に言ったら怒られますから。店長が言ってくださいよ」


「さすがにいい大人が人のラブラブ見てそんなこと言えねぇだろ」


「今更過ぎますよ店長」




今までどれだけ失礼な発言をお客様に対して発してきたと思ってんだこの人。

てかそれを寛大に受け入れてくれてるお客様は神様ですか?仏様ですか?




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