鬼畜店長
「あー爆発しねぇかな」
「店長、結局言っちゃってる!口に出しちゃってますよ!」
いい大人がうんたらかんたら言ってた人が、ものの見事に言っちゃったよ!
あたしが仕事始めてからまだ一時間も経ってないのに!
意志の弱さが顕著に出てるよ!
「だって俺がこんなに歯を食いしばって働いてんのに、あんなラブラブされたらな」
「別に店長歯を食いしばるほど堪えられてない!」
「あいこれ5番」
「華麗にスルーされた…5番いってきます」
なんだか今日の店長はいつもよりやる気が見られない。
いつもやる気ないのにそれ以上にやる気ないとか、もうダメだと思う。
この店もだし、大人としてもダメだと思うんだあたし。
「店長!そろそろ気合い入れないと人間としてダメになりますよ!そう、それはつまりダメ人間です!」
「うっせえな。俺はいつだって気合十分だよ。今まで気合いで生きてきたからな」
「堂々と真っ赤なウソつきますね店長って。逆にすがすがしい」
「お前完全に馬鹿にしてんだろうが。何でもいいからてきぱき働け。そして俺を早く家に帰らせろ」
「なんてダメ人間なんだ」
そんなやり取りをしながらも言われた通りにてきぱき働くあたしはなんて偉いんだろう。
店長の前で言うと調子に乗ってんなよとチョップされるだろうから言わないけどね。