鬼畜店長


あーんと大きく口を開けると、その中にあたしが作ったいびつな形の生チョコを放り込まれる。


ココアパウダーがのどに張り付いてむせそう。

さよなら歯磨きによってすっきりしたあたしの口内、こんにちはチョコレート風味なあたしの口内。


と、なんの意味もない挨拶を口内にしていると、その口を誰かに塞がれた。



そりゃ誰かって言っても今この部屋にあたし以外には店長しかいないわけで、もちろんこのあたしの口内を好き勝手してるのもこの人物である。




「甘すぎるな。俺はチョコならビターが好きだ」



人の口内を散々好き放題にしたのちに言う言葉だろうか。

去年のあたしの殺人クッキーに比べればこんなの苦すぎるくらいだろうが。



「文句言うならもう食べないでくださーい」


「うそうそ。うまいよ。だからもう一回」


「もう眠いので、あたしは歯を磨きます。店長も食べるなら食べて、歯を磨いてください」


「お前な、バカップルならこのあと仲良くチョコレートプレイだろ」


「なっ……!も、もしあたしが歯を磨いた後にチョコでキスしたら怒りますからね!バカップルごっこは一人でやってください!」


「なんだつまんねーの。ほら、歯ぁ磨く前ならいいだろ。ちゅー」


「もう生チョコいらない!今はチョコより歯磨き粉のスッキリ感を求めてるんです!」


「これ最後だから、ほら」


「……本当に最後ですからね!」




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