鬼畜店長
そして、母親からの命令が何一つ解決していないことに気づいたのは次の日の朝でしたとさ。
「どうしよう店長!」
「なんだようるせえな」
「あたしがうるせぇのはいつものことじゃないですか」
「ちょっとくらいダメージ受けろよな…」
もはや言われ慣れたわ。
「実家に帰るって話ですよ!帰るの面倒だけど仕送り減らされるのはキツイ!」
「昨日あんだけグダグダ言ってた割にやっぱり本心はそこなんだな」
「だって片道2時間とかですよ?面倒じゃないですか。長期滞在できるわけでもないのに」
「まぁそこは俺が運転すんだから別に問題ないだろ。店のこともあるから長いことはいれねぇけどな」
「え、店長行ってくれるんですか?!」
「…いい加減挨拶しとかなきゃなとは思ってた」
え、ちょ、店長お耳が真っ赤っかですけど、なにそれ可愛いなおい!
店長自分で言って照れちゃう人だからな。
でもそうか、挨拶か。
「なんか緊張しますねそれ!」
「なんでお前が緊張するんだよ」
「だって親に彼氏の紹介とか今までしたことないですもん」
「…ねぇの?」
「ないっすよ。というか、ここまで長く付き合った人が今までいませんでしたので」
なんか付き合ってもやっぱ友だちの距離の方がいいよねみたいなこと言って振られるんだよね。たぶんあたしが原因なんだろうけど。
「そうか」
あぁなんか知らんけど店長がうれしそうだ。