鬼畜店長
2時間の道のりを熱唱しながらやってきた我が家。
運転席の店長が迷惑そうな顔してたが、気にしない。
「いいですか店長、うちの家族は基本的にじいちゃんとお父さん以外は騒がしいです。あたしが何人もいると思ってください」
今家にいるのは母親、父親、高校生の弟、じいちゃん、ばあちゃんのはずだ。
そしてじいちゃんとお父さん以外テンションがあたしにそっくりだ。
「お前、自分が騒がしいことは自覚してたんだな」
「今そこにびっくりされると思ってなかった」
まぁ、あたしと毎日一緒にいれる店長だし、別に心配いらないか。
「よし、行くか」
店長の手には手土産のクッキー詰め合わせ。あたしが食べたかったからこれにした。
ぴんぽーんとインターフォンを鳴らす。
自分の家を目の前にしてインターフォンを鳴らすってのも不思議な感覚だ。
何やらドタバタと中で音がする。
何をやっているんだあの人たちは。
高速降りるときにLINEしたからもう来る頃ってことは分かっていたはずなのに。
「なかなか出てこない」
「きっとなんか馬鹿なことやってんっすよ。あたしの家族ですよ?」
「お前変なところ自信満々だな」
「いつものことじゃないですか」
そんな会話をしていると、そーっと開かれた玄関。
え、なんでそんなゆっくり開くの?
てかもっと大きく開いてくれないと中入れないんだけど。
小さく開かれた玄関の隙間からこちらをのぞいてくるのは野球部の弟の坊主頭。
なんか久しぶりに見たなあ…じょりじょりすると怒られるんだよなぁ…
ばたん
あ、閉められた。