鬼畜店長

「クリスマスより?」

「当たり前です。」



「バレンタインより?」

「話になりませんね。」



「正月より?」

「正月はまた別な意味で特別ですかね。でも正月は忘れられること絶対にないじゃないっすか。」



「まぁ、世間全体が準備するからな。」




「誕生日と同じくらい大事な日ですよ。普段構えない分、母の日父の日敬老の日くらいは感謝の気持ちを伝えなきゃ。」


「お前、そういうところは真面目だよなぁ。まぁ、そこがいいんだけど。」


何を言いますか、あたしはいつだって真面目でしょうが。




わしわしとあたしの頭を撫でてくる店長に、首を傾げながらも大人しくしておく。


店長は顔に似合わず頭を撫でるのが好きなのだ。


本当に犬と勘違いしてるんじゃないだろうな。




「じゃあ、今年の父の日はどうすんだ?」



「うーん…何か買って贈っても間に合わないですよねー。どうしよう!」


「じゃあ直接渡せば?」


「それが無理だからこうやって頭を捻っているのですよ。」



「いや、だから明日っつーか今日か。今日プレゼント買って、届けに行けばいいじゃねーの。」


「だって店があるじゃないっすか。」


「店開ける時間遅らせる。予約入ってたの20時だし、余裕だろ。バイト連中には連絡いれとけばいいし。」


「でも遠い。」


「俺もさすがに早起きして運転は嫌だからな。今日は電車でのんびり行くか。」



「店長も一緒に行ってくれるんですか?」


「お前の親父さんはもはや俺の父親でもあるだろ。」


「それはうちのお父さんも同じですよ!次いつ2人で来られるのー?ってよく聞かれます。」




「じゃ、決まりだな。」





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