鬼畜店長
ようやく〈close〉を出すことを許された25日午前1時。
きれいになった店内には、あたしと店長の2人が残っていた。
「お疲れさまです。」
「おう。お疲れ。」
あの店長が素直に労いの言葉をかけるレベルということは、疲労度マックスだ。
「そんなお疲れなお前に、心優しい店長さんからプレゼントだお!」
「いい年したおっさんがなに言ってんすか?」
「しね☆」
「やばいっすね!店長が疲れすぎて壊れた!」
「うるせぇ壊れてねぇよ。
で、プレゼントいらねぇの?」
「ほ、ほしいですごめんなさい!」
「最初からそう言えよ。ちょっと待っとけ。」
そう言ってカウンターの裏へ回った店長は、美味しそうなシャンパンと美味しそうなつまみを持って帰ってきた。
「おおおいしそううう!!」
「え、なんでそんな一気にテンション上がんの?うるさすぎて引くんだけど。」
単純に引かれたぜ!
でも、これは仕方ないことだ。
だって働き尽くして疲労困憊。
お腹はぺこりんこ。
そして今日は、あのパーリーピーポーたちのせいでいつも以上に精神的にもしょんぼりマンだから、店長の優しさが身にしみる。
あたし以上に店長だって疲れているはずなんだ。
でもあたしのためにこうやって時間を割いてくれている。
「店長。好きです。大好きです。」
「あ?どうした急に。」
「なんか無性に言いたくなっただけです!あたし、店長のこと大好きです。」
「そうですかい。
……じゃあ、結婚すっか。」
「はい。…………はいっ?!!!」