鬼畜店長
「いつも隣でやかましく楽しそうなお前が、愛おしくてしょうがない。
俺の飯を大事そうに食ってくれるところも、俺の代わりに怒ってくれるところも、俺と一緒に笑ってくれるところも、何もかも、全部好き。
正直、お前以外と付き合うとか全く考えられねぇし、お前が誰か他のやつと付き合うのも許せない。
お前は俺の横で、馬鹿みたいに騒いでろ。
そのために、俺と結婚しろ。」
「こんなところでも鬼畜節は健在なんですね…」
『結婚しろ』って。
どんだけ上から目線っすか。
でも、そんなあなたを好きになったんです。
「返事は?」
「よ、よろしくお願いします!!」
盛大に頭を下げたら笑われて思いっきり頭を撫で回された。
この手が好きだ。
笑った顔も声も好きだ。
いじわるなところも優しいところも、
飾らないところも全部が好きだ。
「これからもいっぱい騒ぎますから、期待しててくださいね!」
「俺に蹴られない程度にしろよ。」
「いきなり家庭内暴力の宣告?!」
「んな最低なことするわけねぇだろ。」
「よかった…店長が常識ある人でよかった…」
「あ、指輪はめてやるから手ェ出せ。」
「やー!ドキドキしちゃいますね!」
店長の手によって開けられた箱にはシンプルなシルバーのリングが入っていた。
こんなものをもらう日が来ようとは。
「ぴったし!」
しっくりとあたしの指できらめく銀色。
店長からの約束の印。
「で、お前はなんで泣いてんの。」
「だって、なんか…店長が優しいから!」