鬼畜店長
風情をなくしていらっしゃる。


「店長!笹は?!」



「んだようるせぇな。笹なんてあるわけねーだろ。」



「…あり得ない。もうすぐ七夕ですよ?!短冊飾らないと!」



「バーに笹なんて普通置いてないだろ。店の雰囲気ぶち壊しじゃねぇかよ。」



「なんでぇ。織姫さんと彦星くんが出会えないじゃないですか。」



「それは笹関係ないだろ。勝手に空で一年ぶりの逢瀬するだろうよ。」



「もう!店長は情緒というものに欠けていますよ!全く、どこに落としてきたんですか?」



「俺、神話とか信じない派なんだ。笹に願いごと括ろうが、叶わないもんは叶わないんだよ。」



「神話とかじゃなくて!風情!風情がない!!現実見過ぎ!」


「じゃあなんだ、笹を飾れば晴れて風情ゲットか俺は?願い事も叶いますってか?」



「そ、そういうことにはならないかもしれませんが、でも笹飾り作るの楽しいじゃないですか!」



「…お前、完全にそっちが目的じゃねぇかよ。」



「そそ、そんなことはないですけど?!」



「動揺しすぎだぞ馬鹿め。」



「……店長の意地悪ーー!こうなったら笹飾りだけ作って店内に飾ってやるー!」



「それはやめろ。迷惑だろ。俺に。」



END




< 66 / 244 >

この作品をシェア

pagetop