鬼畜店長
風情をなくしていらっしゃる。
「店長!笹は?!」
「んだようるせぇな。笹なんてあるわけねーだろ。」
「…あり得ない。もうすぐ七夕ですよ?!短冊飾らないと!」
「バーに笹なんて普通置いてないだろ。店の雰囲気ぶち壊しじゃねぇかよ。」
「なんでぇ。織姫さんと彦星くんが出会えないじゃないですか。」
「それは笹関係ないだろ。勝手に空で一年ぶりの逢瀬するだろうよ。」
「もう!店長は情緒というものに欠けていますよ!全く、どこに落としてきたんですか?」
「俺、神話とか信じない派なんだ。笹に願いごと括ろうが、叶わないもんは叶わないんだよ。」
「神話とかじゃなくて!風情!風情がない!!現実見過ぎ!」
「じゃあなんだ、笹を飾れば晴れて風情ゲットか俺は?願い事も叶いますってか?」
「そ、そういうことにはならないかもしれませんが、でも笹飾り作るの楽しいじゃないですか!」
「…お前、完全にそっちが目的じゃねぇかよ。」
「そそ、そんなことはないですけど?!」
「動揺しすぎだぞ馬鹿め。」
「……店長の意地悪ーー!こうなったら笹飾りだけ作って店内に飾ってやるー!」
「それはやめろ。迷惑だろ。俺に。」
END