鬼畜店長
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「店長、なんかもう新年迎えたみたいっすね。お客さんが勝手にみんなでパーティ状態になってます。」
「…散らかったらお前が片付けろよ。」
「え、今日ラストあたしと店長だけなんすから手伝ってくださいよ!じゃないと無理!」
「断る。…てかよく考えたら一年の最初に顔を合わせた人間がお前って、もう今年終わったな、俺。良いこと起こる予感がカケラもしねーよ。」
「店長、一応あたしでも傷つくんすからね。そして今年は今さっき始まったばっかなので勝手に終わらせないでください。」
「…お前って、傷つくんだな。」
「何その初めて知ったみたいなびっくり顔。言っときますけど、あたしなかなかのガラスのハートですから。」
「悪い、俺幻聴聞えてきたから家帰って安静にしてるわ。」
「いたって健康体のはずなんでまじヤメテください。」
「確かにな…お前なんかに店預けたらどうなることやら…」
「そう言われると、あたしに任せろって言いたくなりますけど、その手には乗らないっすよ。」
「ちっ ばれたか。」
「何帰る気満々でいるんすか。」
「だってもう眠いもん!」
「キモい。」
「死にさらせ。」
「暴力反対!肩パンは悪!」
「キモいは言葉の暴力じゃないんですかー?悪じゃないんですかー?」
「くそ、ああ言えばこう言う。屁理屈言わないの!」
「うるせぇ。いいからあの客さっさと追い出せ。この店は0時閉店だぞ。」
「いつの間に閉店時間1時間短くしたんすか。」
「俺の気分だ。」
「職権乱用!」
「お前、そんなに働きたいのか。…可哀そうな奴だな。」
「なんすかその目!べ、別に家に帰っても一人でさみしいなんて思ってないっすからね!」
「なんだつまんねーの。」
つまんないってなんだ、つまんないって。