叶わぬ恋
プロローグ
これは確率の問題だった。


大学の入学式。
壇上で在校生からの
挨拶をしていた彼に一目惚れをした。


一つ上の彼は、あたしの
初恋の相手。

彼は俗にいうクールなタイプで。
綺麗な顔立ちをしているのに。
女の子達が表立って騒がないのは、
その冷ややかな態度のセイだと思う。


彼を好きな女の子は大勢いる。
もちろん、あたしも
その中の一人。

けど、みんな遠巻きに見ているだけ。
たまに告白する人もいるけど、
今まで付き合えた子はいない。


あたしが大学二年生になる頃には、
女に興味がないって噂まで立った。

そんな彼に、彼女が出来た。
みんなは嫉妬に狂ったさ。
……あたしも、嫉妬に狂った。

あたしが大学三年生になる頃には、
その彼女は事故で亡くなったって
噂で聞いた。

でも、あたしは事故なんかじゃないと思う。
きっと…誰かが仕掛けたに違いない。

確証はないが、例にあたしの
幼馴染の彼女がそうだから。

亡くなってはいないけど、
扱いが酷い。


そして、三年生になって
半年が過ぎた。

また、女に興味を示さなくなった。
また、女に興味がなくなった。って、
噂が出始めた。

男が好きなのかもって、言われてた。
そう思わせるほどの綺麗な顔。
彼を好きな男もいると思う。




それは確率だった。
彼と付き合える確率は……。
「そう低くはない。」

ただ……ただ―――――――――……。

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