叶わぬ恋
尚央のため……
『尚央!』

昼休みは一つ上の学年の
教室に行く。

彼に会うために毎日、
欠かさずに行く。

教室を覗くあたしを見て、
一瞬、ピクンと体を震わせるのは、
あたしの愛しい尚央。

クールな彼は何も言わずに席を立って、
教室のドアの前にいるあたしに近付く。

そして、あたしの前で足を止めて。

「何?」

低い声でそう言う。
毎日来てるにも関わらず、
彼は必ず「何?」と聞く。

毎日毎日同じことをしてるのに、
必ずそう聞いてくる。

だから、あたしも毎日言う。

『お昼。一緒に食べよ?
 尚央の分も作ってきたから♪』

あたしのその言葉に、尚央は。

「あぁ。」

と答えて教室を出る。

尚央の並んで廊下を歩いていると、
大勢の視線が向けられる。

綺麗な顔立ちの尚央への好意と、
あたしへの敵意の視線。

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