【完】小野くん症候群
恋の病
「人ってホント
見かけによらないよね…」
「うん言えてる。
あたしの元彼なんて
イケメンなのに撮り鉄だよ?
まじありえない」
「世の中色んな趣味がありますね」
「あーもう思い出すだけで鳥肌立つわ」
双葉はパックジュースのストローを
銜えながらあたしをジ、と見つめた。
「あれ、紗和化粧してんの?」
「あ、うん、少し」
「ええ! なんでよ紗和は肌綺麗だし素朴な感じが可愛いのにーっ!」
「や…綺麗になりたいなって…」
あたしはアンパンをもそもそ食べながら
双葉からの熱い視線をさり気無く逸らした。
「ふぅ~ん。そっかそか紗和小野くん好みにしようとしてるのか」
「ち、違うくて!」
「図星かー。
あーもう、可愛いなコイツ」
「いだだだっ」
言動と行動が違いすぎる。
綺麗な指先であたしの頬を
抓る双葉はケラケラと笑い飛ばした。